そば打ちの楽しみ (株)シバサキ製作所 代表取締役 柴崎 猛
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| 二八の紅玉ソバ |
| 今、そばうちが静かなブームだという。私もその魅力にとりつかれたひとりである。口の悪い仲間はあまりの凝りように、私のことを「シバサキ」ならず「ソバサキ」と呼ぶくらいだ。其のわけは、若いころからの無類の蕎麦好きが高じての結果なのだが、蕎麦の旨さは何といっても「挽きたて」「打ち立て」「茹でたて」の三たてにあり、まさにそれを実践するための自前の蕎麦うちなのである。 今では、庭の踏み石になっていた石臼を仕事のノウハウを活かして自動化し、玄そばを碾きぐるみしている。それにつなぎとして、少量の小麦粉を混ぜ、水でこねる。分量は両手で覆えるほどの練り玉にしている。 それは手のひらから出る情熱が蕎麦に通じるような気がするからだ。それを麺棒で薄くのして切る。切り口がふぞろだと茹で上がりがムラになるので、できるだけ均一に切る。そして冷水ですすぎ、特性のつゆで食す。このつゆも蕎麦うちを始めて以来熟成させている「かえし」をもとに作ったものである。時折「新蕎麦の会」なるものを開いて友人たちに食べてもらっているが、すこぶる評判がよい。 私が蕎麦に夢中になっている理由がもう一つある。それは普通、蕎麦の花といえば白い花が通り相場だが、私の蕎麦の花は淡いピンク色をしているのだ。それは、当、寄居地方の在来種で、昔から「紅玉そば」と呼ばれ、今では幻の蕎麦になっている。以前、蕎麦の原産地はチベットで、あちらの蕎麦の花は赤いと聞いたことがあるが、寄居のそれも原種に近いのかしらん。 とにかく、私の蕎麦の旨さの大いなる部分は、この「紅玉そば」によっている。 今は個性化志向の時代である。蕎麦の町づくりが全国的に盛んであるが、当地、寄居では、ここならではの蕎麦で売り出すのも一興であろう。仕事のかたわら、ボランティアで地域の環境保全活動をやっている私にとって、荒れた休耕地にこの「紅玉そば」を撒いて少しでも美しいふるさとづくりに役に立てば、嬉しい限りである。 それらが、ことさら私を蕎麦うちに夢中にさせているもうひとつの所以である。 |